2026年2月20日、私たちは名古屋プロパン瓦斯株式会社様主催による「AIとアートのワークショップ」を実施いたしました。従来のマーケティング手法の枠を超え、現代アートとAI技術を融合させた全く新しいアプローチで経営課題に挑戦するという、画期的な取り組みとなりました。本日は、その背景から当日の様子、そして得られた具体的な成果まで、詳しくご報告いたします。
AGO MARKETINGの新たな挑戦:論理の限界を超えて
AGO MARKETING株式会社は、これまでマーケティングとAIを活用した戦略コンサルティング会社として、お客様の営業戦略をAIを活用して提供してまいりました。特に英語を活用したグローバル視点での戦略立案を得意としており、多くのクライアント様から高い評価をいただいてきました。
しかし、コンサルティングの現場で実感していたのは、AIだけでは到達できない限界の存在でした。いくらデータを分析し、論理的に戦略を組み立てても、既存の延長線上の発想から抜け出すことは困難でした。真に革新的な戦略を生み出すためには、新しいものの見方や視点をずらして考えることが必要だったのです。
そこで私が着目したのが、個人的にも強い関心を持っていた現代アートでした。現代アートは、私たちの固定観念を揺さぶり、一つの作品から全く異なる複数の解釈を生み出す力を持っています。この現代アートが持つ「視点をずらす力」と、AIの「言語化・構造化する力」を組み合わせれば、もっと良いビジネスアイディアが生まれるのではないかという発想から、このワークショップの構想が生まれました。
まずは簡易的なワークショップを経営者の方々を集めて東京で実施したところ、想像以上に好評をいただきました。参加者からは「こんな発想の仕方をしたことがなかった」「自社の課題をまったく違う角度から見られた」という声を多数いただき、この手応えを確信に変え、クライアント様への本格導入を進めることにしたのです。
名古屋プロパン瓦斯様との特別な出会い
このワークショップのコンセプトをお話しする中で、「アートとかAIとか、中小企業の現場にはちょっと遠いのではないか」というご意見をいただくこともありました。確かに、従来のビジネス研修とは大きく異なるアプローチでしたので、そのような反応も理解できました。
しかし、名古屋プロパン瓦斯株式会社の社長様は、実は写真家としても活動されているアーティストであり、名古屋の展示会でも賞を受賞されている方でした。この「AI×現代アート×ビジネスアイデア創出」という構想をお話ししたところ、社長様は即座に「ぜひ、うちの幹部メンバーとやってみたい」と、非常に前向きにご賛同くださったのです。
この出会いが、今回の革新的なワークショップ開催を実現させる大きなきっかけとなりました。
ワークショップの目的と独自開発のAIエージェント
今回のワークショップでは、名古屋プロパン瓦斯株式会社様において、以下の三つの目標を設定いたしました。
第一に、幹部層のエンゲージメント強化です。組織の中核を担う幹部の皆様が新しい視点を共有し、一体感を持って課題に取り組む土台を作ることを目指しました。
第二に、新規事業の開発による売上の増大です。既存のビジネスモデルの延長線上ではない、全く新しい可能性を探ることで、企業の持続的成長につなげることを狙いました。
第三に、AIに慣れていただくことです。これからの時代、AIは経営の重要なツールとなります。実際に触れて体験していただくことで、その可能性と限界を理解していただくことを目指しました。
このワークショップのために、私たちは特別なAIエージェントを開発しました。これは、参加者が現代アートから得たインスピレーションや独自の解釈を読み込ませることで、AIがそれをビジネスに活かせるインサイト(洞察)として言語化し、具体的な戦略提案として提示してくれるシステムです。

AIエージェントアプリ
当日の詳細な流れ:美術館からAI活用まで
名古屋市美術館での現代アート鑑賞
当日は、名古屋市美術館に名古屋プロパン瓦斯株式会社の幹部15名の皆様にお集まりいただきました。また、業界紙やテレビなどのメディアの方々にもお越しいただき、ファシリテーターとして外部の専門家にもご参加いただく、本格的な体制でのスタートとなりました。
鑑賞した現代アートは、「四つの対談」という名古屋ゆかりのアーティストによる大型の現代アート展でした。参加者の皆様には、まず先入観なしに作品と向き合っていただきました。

名古屋プロパン瓦斯様との集合写真
鑑賞後の最初の感想は、非常に率直なものでした。「実際にこれらがビジネスに活かせるのか、全くアイディアが浮かばない」「これがどうビジネスにつながるのか理解できない」といった戸惑いの声が多く聞かれました。
しかし、この「わからない」「つながらない」という感覚こそ、実は今回のワークショップの重要なスタート地点でした。固定観念を揺さぶられ、普段使わない思考回路を刺激することが、新しい視点への第一歩だからです。

アート鑑賞風景
AIエージェントを活用した本格的なワークショップ
美術館での鑑賞後は場所を移動し、参加メンバーを6つのグループに分けて、本格的なワークショップに入りました。

ワークショップ風景
ワークショップの流れは以下の通りでした:
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現代アートから得たインスピレーションの言語化:参加者の皆様に、アート鑑賞で感じたことや気づいたことを、まずは言葉にしてメモしていただきました。
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AIエージェントの活用:弊社の方で解釈したアートから得られたインスピレーションを、弊社で開発した専用のAIエージェントに学習させ、ワークショップではファシリテーターに活用いただきました。
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AIによるインサイトの生成:AIエージェントが、参加者の課題から詳細の課題の内容を言語化し、それらの課題に対してAIがアートから得られたビジネスインサイトを提示して、アイデアの創出を促しました。
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グループディスカッション:そのインサイトをもとに、各グループでビジネスアイデアについて深い議論を行いました。
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AIによるアイデア拡張:出てきたアイデアを、さらにAIを使って20個ほどに拡張・バリエーション展開しました。さらにはフェルミ推定で売り上げ順位別にトップ10を出しました。
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実現可能性の検討:各グループで「これは実際にやれそう」という案を選び、具体的な実行方法まで深掘りしていきました。

ワークショップの締めの言葉
参加者の皆様からは途中で、「AIを通して自分たちの考えが”翻訳”される感じが新鮮」「最初はピンと来なかったアートが、AIの言語化を通すとビジネスに結びついてきた」といった驚きの声をいただきました。
なぜ「現代アート×AI」なのか:理論的背景
今回のワークショップの核心にあるのが、現代アートの”視点をずらす力“と”AIの言語化・構造化の力“を組み合わせることです。
現代アートは、一つの作品から全く異なる複数の解釈が生まれる特徴を持っています。「なぜそう見えるのか?」「他にはどんな見方があるのか?」と考えることで、私たちは自分の前提や思い込みに気づくきっかけを得ることができます。これが「多角的視点を得る」ということであり、視点をずらすという意味では非常に有効なツールだと確信していました。
一方、AIエージェントは、参加者が言語化したインスピレーションを整理し、背景にある構造やパターンを浮かび上がらせる能力に長けています。さらに、それをビジネスに応用できる形で「課題」「打ち手」「仮説」として再提示してくれます。
この二つの力を掛け合わせることで、「ロジックだけの戦略立案」でもなく、「感性だけのアイデア出し」でもない、両者を行き来する革新的な発想プロセスを創造したかったのです。
ワークショップから得られた具体的な成果
実際にAIエージェントを活用しながら、現代アートから着想を広げた結果、いくつかの重要な発見がありました。
課題の明確化と深掘り
AIエージェントを使って、「なぜその課題が起きているのか」「どんな前提や構造が背景にあるのか」を対話形式で掘り下げていくことで、「なんとなく感じていたモヤモヤ」が具体的な課題として言語化されたという実感を多くの方が持たれていました。
参加者からは「AIを通して様々な課題を深掘り分析することで、課題がより明確になった」という感想をいただきました。漠然としていた問題が、AIとの対話を通じて具体的な形を持ち始めたのです。
アートによる発想の転換
現代アートの鑑賞とその解釈を通じて、「自分たちはこういう価値観を大事にしているのかもしれない」「この作品の構造は、自社の組織構造にも似ている」といった気づきが生まれました。
参加者からは「アートから得られるものの見方のずらし、新しい視点というところが発想の転換になった」という意見を多数いただきました。普段のビジネスの文脈では考えつかないような角度から課題を見ることで、新しい解決策が見えてきたのです。
現代アートから得られた具体的なビジネスインサイトの例は以下の通りです。(詳細のアート作品は割愛します。)

アート作品から得られたビジネスインサイト
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視点の転換による既存資産の再価値化: 物理的な変更を加えずに「見せ方」や「体験の文脈」を変えることで、コスト効率良く全く新しい顧客価値を創出する。
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プロセス共有を通じたエンゲージメント構築: 完成品だけでなく、そこに至る試行錯誤や対話の過程(プロセス・エコノミー)を透明化し、顧客やステークホルダーとの深い信頼関係と共創の基盤を築く。
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「共生」による持続可能なエコシステムの形成: 競合を排除すべき敵ではなく、市場全体のパイを拡大する協力者と捉え、自社の枠を超えた拡張性の高い協働戦略を実現する。
ワークショップを通じて、名古屋プロパン瓦斯株式会社様の中で、特に以下のような課題が明確になりました:
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部門間の情報共有が十分にできていない
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販売店のリソース・知見を十分に活かしきれていない
これらの課題に対して、AIとアートから得られた示唆をもとに、例えば以下のようなアイデアが生まれました:

具体的なアイデア例
部門間での「失敗事例」の積極的共有:アート鑑賞で「解釈の違い」を楽しんだように、失敗のプロセスも共有して学び合う文化を作る仕組みの構築。
販売店との共創関係の構築:販売店を「末端」ではなく、本部と一緒に施策を考えるパートナーとして巻き込む仕組み。販売店の現場アイデアをAIで整理し、新サービス・新商品の企画に反映させる体制の確立。
これらは単なる思いつきではなく、アートという「異質な視点」とAIの「分析力」が融合して生まれた、実現可能性の高い戦略です。
参加者の幹部の方々からは以下のような感想をいただきました。
・創造性は一部の人の能力ではなく、環境づくりで引き出せることや、 また、固定観念にとらわれない発想の重要性を改めて実感しました。
・現代アート×AIにより部署間の連携について回答が多数あり、実現可能なものもあった。 私では、思いつかないものもあり勉強になった。
・アートを鑑賞する必要が分かった。今後については、AIが出した施策を積極的に取り入れていきたい
今後の展開:継続的な取り組みと成果の共有
今回のワークショップは終着点ではなく、新しい取り組みのスタートラインだと捉えています。今回生まれたアイデアをベースに、実際にこれから継続的なワークショップを実施していく予定です。
具体的には、今回生まれたアイデアをどのように具体的な施策に落とし込んでいくのか、そのプロセスで再びAIとアートをどう活用していけるのか、といった点も含めて、名古屋プロパン瓦斯株式会社様と継続的に議論を進めてまいります。
また、これらのワークショップの結果や進捗についても、今後このブログで継続的に共有し、報告していく予定です。AIと現代アートという一見異なる二つの要素を組み合わせることで、ビジネスに新しい視点をもたらすことができることが実証されました。
この革新的なアプローチが、他の企業様にとっても参考になれば幸いです。今後も、従来の枠組みにとらわれない斬新な手法で、お客様の経営課題の解決に貢献してまいります。
もし「うちの会社でも、AI×アートで新規事業や組織の発想を広げてみたい」「AI研修とは違う形で、幹部やチームの思考をほぐしたい」といったご関心がございましたら、ご相談ベースでもお気軽にお問い合わせください。
次回は、今回の各グループから生まれた具体的なアイデアの詳細を、可能な範囲でご紹介していく予定です。



