製造業やインフラ企業でも、品目情報を複数のシステムへ転記したり、取引先と社内で異なる品番を照合したりする仕事は、業務改善の検討対象になります。AIで一つの入力作業を速くできても、その後の確認や登録に手間が残れば、担当者の負担は減らしきれません。
今回は、OEMにも対応する服飾雑貨メーカーで、AGO MARKETINGが関わった商品登録業務の自動化検討をご紹介します。発注データとメーカーからの回答を突き合わせる案を、既存システムと実務に詳しい関係者へ確認した際の記録です。企業名やシステム名などは伏せています。本記事では、現場の業務を確認しながら改善案を具体化した検討プロセスをご紹介します。
発注CSVと回答PDFを見比べ、その先にも入力が続いていた
対象業務では、メーカーへ発注用のCSVを送り、数量や商品名、サイズなどの変更を含む回答を受け取っていました。回答情報はCSVやPDFで届き、Excelを経由して社内の商品データベースへ登録する流れです。
ところが、登録はそこで終わりません。商品データベースからCSVを出力し、取引先向けの商品登録システムへ取り込んだ後、商品画像を対応付ける必要がありました。材質やサイズなどの情報は、従来、メーカーのカタログを参照して補っていたとの説明もありました。
発注回答の確認、必要項目の補完、別システムへの取り込み、画像登録。複数の作業を経て、ようやく商品登録が完了する業務だったのです。

最初に提示したのは「差分を抽出し、人が承認する」仕組み
AGO MARKETING側が提示したのは、発注時のCSVと、メーカーから届く修正回答のPDFをWebアプリへ取り込み、AIで変更箇所を抽出する案です。抽出結果を人が確認・承認した後、更新用データを作成し、既存の商品データベースへ登録する構想でした。
既存システムとの関係も事前に相談しており、別の仕組みとして動かし、更新結果を既存データベースへ渡す構成なら大きな問題はない、という見解を得ていました。ただし、これは事前相談段階の見解です。
会議では、この差分更新を最初の対象とし、デモ版を現場に触ってもらいながら作り込む進め方を確認しました。
聞き取りで見えてきた、後工程の手作業
実務に詳しい関係者からは、データベースへ登録した後の項目補完やCSV取り込み、画像の対応付けにも、大きな負担がある可能性が示されました。
例えば、取引先向けのデータを出力する際、現場で使っている出力方法には列数の制約があり、複数回に分けて取り出し、不要な項目を手作業で削っているとのことでした。
ここで検討したのは、取り込み先で必要な列を選び、決められた書式へ自動で転記する方法です。VBAやExcelマクロなども候補に挙がりました。回答PDFから変更内容を読み取る工程にはAIを使い、決まった列の並べ替えや転記にはルールに沿った処理を使う。作業ごとに実現方法を分けて考えました。
画像登録が難しい理由は、品番だけでは商品を特定できないこと
もう一つの論点が、商品と画像の対応付けでした。
メーカーの品番と、取引先で使う商品コードは、そのまま一致するわけではありません。さらに、別のメーカーが同じ品番を使うこともあります。社内では重複を避けるために識別用の文字を加えていても、メーカーから届く画像のファイル名には、その文字が入っていないことがありました。
この状態で品番だけを頼りに自動登録すると、別の商品に画像を付けてしまうおそれがあります。転記を速くする前に、どの画像がどの商品に対応するのかを確実に判断できる情報が必要でした。
AGO MARKETING側からは、画像ファイル名に社内・取引先向けの商品番号を付け、対応情報を保持できれば、自動化しやすくなる可能性を提示しました。
一方で、メーカーから届く画像と品番が正しく対応しているか、担当者やシステムが変わっても識別情報が維持されるかは、残る課題です。番号を付ければ解決する、と結論付けたわけではありません。
次に確かめることも、支援の対象にする
この会議で確認した次の進め方は、発注回答の差分更新をデモで具体化しながら、後工程のデータ整形と画像登録についても検討することでした。AGO MARKETING側では、画像登録の論点とアイデアを整理して共有する作業を持ち帰りました。
今回の検討では、業務の流れを確認することで、最初の自動化案に加えて、後工程の制約と誤登録のリスクが具体化されました。次は、発注回答の差分更新をデモで確かめながら、後工程のデータ整形や画像の照合ルールを検証していく段階です。
人材不足の現場で業務を軽くするには、担当者が普段どこで判断し、どこで手を動かしているかを捉える必要があります。システム間の受け渡しや品番の扱いなど、詳しい人に確認しなければ見えにくい条件もあります。
AGO MARKETINGは、こうした実務の確認から、改善案の設計、試作・検証、現場への定着までを支援しています。商品登録や受発注業務の転記・確認に負担を感じている方は、今使っている帳票や業務の流れからご相談ください。


